第14回アークスタイルパートナー総会開催
9月11日、東京品川にてアークスタイルパートナー総会が行われました。
今回は、JAPAN DESIGNER`S HOUSE AWARDのプレゼンテーションを全応募作品で行っていただくという新たな試みを致しました。総会後のアンケートでは、ご参加の皆様より良かったとのご返答を沢山いただき、ほっと致しております。TOPコンシェルジュの表彰では、若い女性のコンシェルジュが1位と3位に入賞され、ベテラン男性コンシェルジュの表彰が多かった今までとは違い、新たなフェーズに突入した印象を受けました。
これら二つの催しの他、LIFULL HOME'S総研 所長 島原 万丈様による特別講演があり、デンマークと日本の住宅に対する考え方の違いの調査しレポートされた「住宅幸福論 Episode.2」を元に1時間ほどお話をしてくださいました。デンマークと言いますと照明や家具が有名で、お客様にご提案された方も多くいらっしゃることと思います。
私は20年以上前に、ザ・チェアーを生産しているPPモブラーを視察し、そこに勤めていた知り合いがホームステイしていた住宅に宿泊したことが有ります。何もかもが新鮮で感動したことを覚えてます。特にコペンハーゲンにある工芸博物館を訪れ、展示品の中に日本ののこぎりやカンナがあったことには大変驚き、また日本に似たところが多いような印象を受けました。
しかし、島原様のお話を伺うと、日本とデンマークの住宅に対する考え方の違いが浮き彫りになりました。島原様がおっしゃるには、デンマーク人はすまいをアイデンティティと考えていて、私の分身としてきれいに保ち、また自身が成長し変態(メタモルフォーゼ)していくように、部屋に手を入れ模様変えしていくそうです。そして知り合いをホームパーティーに招いては部屋の隅々まで説明するようです。
それに対して日本人は完璧な「モノ」を求め、それを手に入れることがゴールで、その後は全く手を入れず、不具合が起きた時に初めて元の機能を取り戻すリフォームをする方が多いということでした。またデンマーク人は住まいを他者に開いて、コミュニティーを育む拠点とするのに対し、日本人は他者に閉じて誰にも侵されないプライベート空間とするというお話もありました。確かに私がイタリアにいた時はホームパーティーはとても多く、お誘いを沢山受けましたが日本ではほとんどありません。
島原様のお話をお聞きして、一つ合点のいくことが有ります。それは、デンマーク人はインテリア重視で、多くの日本人は外観重視ということです。デンマーク人(ヨーロッパ人の大半)は外観(が影響する風景)は公共の物で、インテリアでアイデンティティを表現し、そして人を招くところなので、インテリアにとことん拘る。対して日本人は外観で自己表現し、インテリアは他者に晒さないからそこまでこだわることはない、なので自分で手を加えていかない。インテリアにさほど興味がなければ、内装材や家具の質感に対する拘りは薄れるでしょう。工業製品のような完璧な「モノ」を求め、お引き渡しの際に虫眼鏡をもってダメ探しするのも、自然な流れのように思えます。私達はそれをニーズという理由のもとに知らず知らずのうちに消費者を誘導してきてしまい、日本の住宅の「モノ」化を加速させてしまったのかもしれません。私が幼いころは家に日曜大工道具セットがあり、家の手入れをすることは当たり前だっただけに、少し残念だなと感じました。
デンマークは国連の幸福度ランキングで常に上位の国だそうです。島原様のお話から、デンマーク人は自分の住む町や知人と良好な関係を育み、また住まいに関してもさらなる快適な空間を育んでいて、それが幸せや豊かさにつながっていることを知っているのではないかと思いました。
お施主様にさらに幸せを感じて頂ける「育む」家とはどんなもので、そして私達はそれをご提案できるのか、そのようなことを考えさせられたご講演でした。